インクを知る

ガラスペンを使ってみよう

ガラスペンが並んだ写真

SNSや文房具店などで見かけるガラスペン。その見た目の美しさに目を惹かれて、興味を持った方も多いのではないでしょうか?
とはいえ、実際に購入しようと思ったときに、使い方や保管方法など、気掛かりになってしまうポイントがいくつかあるかと思います。

今回は、ガラスペンの魅力をお伝えするとともに、実際に使用するうえで気になる疑問にお答えしていきます。

ガラスペンとは

ガラスペンとは、ガラスでできたペン先をインクに浸して筆記や描画を行う「つけペン」の一種です。
明治35年に風鈴職人の佐々木定次郎によって日本で開発されたと言われています。
透き通るガラスの美しさはもちろん、サリサリとした独特の書き心地も魅力のひとつです。

ガラスペンが置かれた写真

ガラスペンで文字が書ける仕組み

ガラスペンのペン先には先端に向かって複数の溝があり、この溝が毛細管現象によってインクを吸い上げて、インクを保持してくれます。

※毛細管現象とは、細い管を液体へ入れたときに、管内部の液体に表面張力が働き、内壁に引き寄せられるように液体の水位が上昇する現象のこと。

ガラスペンのペン先の溝を写した写真
正面から見た、ガラスペン先端部分の溝
ペン先の溝がインクを保持している様子の写真
先端の溝がインクを保持している様子

そして、ペン先で保持されているインクが紙に触れることで、インクが紙に吸収されていき、文字を書くことができる仕組みになっています。

ガラスペンで筆記を行なっている写真

ガラスペンの使い方

ガラスペンの使い方は、とてもシンプルですので、誰でも簡単に使用することができます。

1.ペン先にインクをつける

ガラスペンの使い方1

まずは、ガラスペンのペン先部分をインクにつけます。

※つきすぎたインクをボトルの淵で落としたい場合は、ペン先が欠けてしまわないように、優しく行いましょう。

2.書く/描く

ガラスペンの使い方2

インクをつけたら、自由に書いていきます。

少し寝かせて、力を入れすぎないように書くのがポイント。

インクがかすれてきたら、ペン先をくるりと回すことで、別の溝に溜まっているインクが出てくるので、角度を変えながら筆記を続けることができます。
ここは万年筆とは大きく異なるところですね!

3.水でゆすぐ

ガラスペンの使い方3

色を変えたいときや片付けるときは、水でゆすぎます。

激しくゆすぐと、水入れの容器にペン先が当たって欠けてしまう場合がありますので、優しくゆすぎましょう。

ガラスペンの使い方3-2

プラスチック製のカップやシリコン製の水入れを使用することで、ガラスペンが欠ける危険性を抑えることができるのでおすすめ。

4.水分を拭き取る

ガラスペンの使い方4

水でゆすいだあとは、ティッシュなどの柔らかい布でペン先の水分を拭き取ります。

ガラスペンの使い方4-2

ペン先の溝にインクや、ラメインクのラメが入り込んで取れにくい場合は、ペン先の溝に沿って水筆で撫でてあげることで、綺麗にインクを落とすことができます。

水で濡らした筆や歯ブラシなどでも代用できます。

ガラスペンの字幅について

ガラスペンにも万年筆と同じように、字幅に種類があります。それぞれの字幅でどんな印象の筆記線になるかを見ていきます。
※メーカーさんによって定義が異なる場合がありますので、購入の際に確認するようにしましょう。

細字

細字のガラスペンで手帳に書いている様子

細字のガラスペンは、細かく書くことができるため、手帳などの狭いスペースへの筆記に向いています。

中字

中字のガラスペンで手紙を書いている様子

中字は、少し太めの印象になるので、手紙などの文章を書いたり、イラストを描いたりするのに向いています。
また、中〜太字ガラスペンは、線が太くなる分インクの濃淡や、ラメインクのきらめきが見えやすくなります。

太字

太字のガラスペンで見出しを書いている様子

太字は、存在感のある線をひくことができるため、見出しやタイトルなど、少し目立たせたい場所に使用すると、くっきりとした筆記線を活かすができます。

細字から太字のガラスペンそれぞれの筆記線を比較した様子

それぞれ特徴がありますので、使用したいシーンに合わせて選んでみてくださいね。

ガラスペンでインクを使ったときの表情

続いては、ガラスペンでインクを使ったときの様々な表情を見ていきます。

ガラスペンをかなり寝かせた状態で書くと、幅広の線をひくことができます。

ガラスペンを寝かせて書いている様子
こちらの紙面上では、『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 162』と『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 167』の2色が使用されています。

よく見てみると、ペン先の先端が当たった部分は色が濃くなっていて、万年筆とは少し違った濃淡の出方を楽しむことができます。

ペン先の形状によっては、この使い方を再現しづらい場合もありますが、色見本を作るときなど、広い面積を塗りたいときに便利です。

ほかにも、ガラスペンのお尻部分が太い形状のものであれば、紙に乗っている乾く前のインクを伸ばすといったこともできるんです!

ガラスペンのお尻を使っている様子

紙にインクをたっぷり乗せたあと、ガラスペンのお尻の部分を使うと、丸みのある柔らかい印象でインクが伸びていきます。

ガラスペンで文字を書いている様子

もちろん、シンプルに文字を書いても、インクの濃淡を感じることができます。

ガラスペンのQ&A

最後に、ガラスペンを使うにあたって気になるポイントを、Q&Aの形式でまとめてみましたので、ガラスペンを使い始めたばかりの方や、これから購入しようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

Q1. 保管するときの注意事項はありますか?

ペン立てなどに入れてしまうと、本体が欠けてしまう可能性がありますので、購入したときにスポンジが付いているようなケースであれば、そのままそのケースで保管するのが安全です。

ガラスペンを購入したときのケースで保管している様子

本数が多い場合には、ゴムでホールドしてくれるペンケースで保管すると便利です。
また、ガラスペンを購入した際に、ペン先に透明なチューブが付属している場合は、そのチューブをはめて保管することで、ペン先が欠けてしまうといったことを避けることができます。

ペンケースに保管している様子
ゴムでペンをしっかりホールドしてくれます。写真は『kaco ペンケース10本用』。
ペン先にチューブをつけてあるガラスペン
ペン先を保護してくれるチューブ。ガラスペンを購入したあと捨てずに、保管時に装着するようにしましょう。

Q2. 一緒に使うと便利な道具はありますか?

ちょっとガラスペンを机に置いたときに、転がって机から落下してしまうなんてことを防ぐために、ペンレストがあると便利です。
ペンレストは、ガラスペンとセットで販売されていることもありますが、箸置きでも代用することができます。

ペンレストの写真

ほかにも、ネイルパーツの入っていた容器などにスポイトでインクを入れることで、パレット代わりに使用することができます。

プラスチックの容器をパレットとして代用している様子

複数のくぼみがある容器であれば、同時にたくさんの色を出すことができますし、洗って繰り返しの使用もできます。
お家の中でパレットに使えそうなものを探してみるのも楽しいですね。

Q3. 選ぶときに注意するべきポイントはありますか?

字幅は気にして選ぶようにしましょう。
太すぎるものだと、小さい文字が書けないので、使いたいシーンを思い浮かべながら選ぶことがポイントです。

実店舗で試し書きができるのが一番理想ではありますが、できない場合にはペン先を見比べてみて、ある程度太さを確認するようにしましょう。


ガラスペン提供:ゆきさん(Instagram:https://www.instagram.com/addicted_plannerstickers/

おわりに

今回は、ガラスペンの使い方や保管方法など、基本的な知識を紹介してきました。
その見た目の美しさや滑らかな書き心地、そしていろいろなインクも楽しめてしまう、魅力がたっぷりのガラスペン。

手軽に楽しむことができますので、まずはお気に入りの一本を見つけて、ガラスペンのある生活を楽しんでみてくださいね。