インクで書く/描く

6月の手紙 時候の挨拶と季節の花の描き方

6月の手紙の写真

手書きで手紙を書くことが減ってきてしまっている昨今ですが、季節の移ろいやその風情にふれる手紙の挨拶は、美しい伝統のひとつ。

with ink.では、インクの色選びも幅広く楽しめる、プライベートなお手紙に使いやすい挨拶例文と、文章に添えるだけで紙面がはなやぐ季節の花の描き方を紹介していきます。

自分なりの表現やインク選びに悩んでしまうという方も、ぜひ参考にしてみてください。

6月《水無月(みなづき)》

季節を感じる6月の出来事といえば、梅雨入り。
夏に向けて気温と湿度が上がっていく中、長く続く雨で気分も塞ぎ込んでしまいがちな時期ですよね。


今回は、そんなじめじめとした空気をやわらげてくれるお手紙になるような、6月の挨拶文と紫陽花の描き方を、ご紹介します。

6月上旬〜中旬の挨拶文

まずは、梅雨がはじまる6月上旬〜中旬のお手紙に使いやすい、挨拶文の例とインクの組み合わせです。

6月上旬〜中旬の挨拶文の例①

雨空に紫陽花の色が映える季節となりました。

6月上旬から中旬の挨拶文の例①

雨雲が空を覆い、辺りが灰色がかったように感じるこの季節に、彩りを添えてくれる紫陽花を取り入れた一文。

6月上旬から中旬の挨拶文の例①と使用したインクの写真

この挨拶文には、雨の中に鮮やかさを添える花のような色味の、『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 匂菫』を使用しました。

6月上旬〜中旬の挨拶文の例②

入梅とともに、長雨の続く毎日ですが

6月上旬から中旬の挨拶文の例②

どんよりした心持ちをお相手と共有しながらも、続く本文で明るい話題を持ち出せば、楽しげな気持ちが伝わるお手紙に。

6月上旬から中旬の挨拶文の例②と使用したインクの写真

この挨拶文には、雨が魅力的に思えてくるような名前と色味の『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク しとしと』を使用しました。

6月中旬〜下旬の挨拶文

続いては、梅雨明けが待ち遠しくなってくる、6月中旬〜下旬に使いやすい挨拶文とインクの組み合わせです。

6月中旬〜下旬の挨拶文の例①

梅雨明けの青空が待ち遠しい今日この頃

6月中旬から下旬の挨拶文の例①

夏の青空の明るさや爽やかさを想起させ、これからの日々を楽しみにさせてくれる一文にしてみました。

6月中旬から下旬の挨拶文の例①と使用したインクの写真

この挨拶文には、雨を表現した青がかすかに夏の空を期待させてくれる青にも感じられる、『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク ざあざあ』を使用しました。

6月中旬〜下旬の挨拶文の例②

暑さが日増しに厳しくなってまいりました。

6月中旬から下旬の挨拶文の例②

雨については触れずに、やってくる夏の足音に目を向け、シンプルに移ろっていく季節を表現してみました。

6月中旬から下旬の挨拶文の例②と使用したインクの写真

この挨拶文には、雨を想起させるような色にはせず、手紙の文章に遊び心を含ませてくれるような名前と、濃くはっきりとした読みやすい色として『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml 戯れ心』を使用しました。

季節の花 『紫陽花(アジサイ)』の描き方

挨拶文の中に⁨⁩も登場していましたが、梅雨の時期の花といえば、紫陽花を思い浮かべますよね。
今回は、雨空に映える鮮やかな紫陽花の描き方をご紹介します。

使用するインク:
SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 藤姿
SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 匂菫
万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 167

1.花びら(正確にはガク)を描く

紫陽花の描き方①

まずは、『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 藤姿』で紫陽花の丸い形を意識しながら、花びら(正確にはガクの部分になります)を描いていきます。

紫陽花の描き方①-2

1枚1枚正確に形をとることはせず、菱形や三角形をランダムに描いていくのがポイント。
インク溜まりが、細かくて複雑な紫陽花の印象を演出してくれます。

なるべく花びら(ガク)を、細かくたくさん描くことで、紫陽花らしい印象がアップします。

2.おしべとめしべを描く

紫陽花の描き方②

続いて、『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 匂菫』で、ランダムに点を打っていきます。
『匂菫』の濃い色で、全体を引き締めると同時に、おしべめしべを表現します。

ひとつひとつの形というよりも、花全体の印象を優先して描いていきます。

3.葉を描く

紫陽花の描き方③

最後に、葉を描き加えます。
紫陽花の半分から下を目安に、丸みのある三角形が飛び出しているようなイメージです。

実際の紫陽花の葉は、暗めの緑色をしていますが、少しでも爽やかな印象を出せればと思い、明るい緑色の『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 167』を使用しています。

手紙全文と紫陽花のイラスト

おわりに

自分なりの言葉を探して季節感を表現し、ぴったりのインクを選んで手紙をしたためる。
その工程ひとつひとつに、手紙を送る相手への思いがこもっていくように感じられます。

また、挨拶文を考えたり季節の花を描くことは、私たちが過ごしている日々の中の、見落としてしまいそうになる物事や景色に改めて意識を向けさせてくれます。

丁寧に時間をかけて、ゆっくりと書いていく手書きの手紙ならではの魅力です。
そんな、心が温まる手書きによる交流を、ぜひ皆さんも楽しんでみてくださいね。