万年筆のペン先は、万年筆の書き味を決める重要なパーツで、各メーカーのこだわりや技術が凝縮されています。
素材によって書き味(書いたときの感触)が変わったり、ペン先の字幅(ペン先の紙に触れる部分の大きさ)によって、書ける文字の太さが決まってきます。
今回は、ペン先の素材や字幅にはどんな種類があるのか、それぞれどんな特徴を持っているのかをご紹介していきます。
目次
ペン先の素材について
万年筆のペン先は、ステンレスで作られたもの(写真左)と金を含む合金でつくられたもの(写真右)があり、素材によって書き味にちがいが出てきます。
ステンレスで作られたペン先
比較的硬めでしっかりとした書き味。筆圧の影響を受けにくく一定の字幅で書きやすいので、初心者の方や筆圧が強い方にも扱いやすいです。
金を含む製品よりも幅広い価格帯で、さまざまなものから選びやすいのもポイントです。
金を含む合金で作られたペン先
金の含有量が多ければ多いほどやわらかいペン先になり、筆圧によってしなり、線幅に抑揚が出やすくなります。
14金(14K)、18金(18K)、21金(21K)と、数字が大きくなるほど金の含有量が多くなっていきます。
金製のペン先は耐久性に優れ、腐食に強いため、長い期間使い続けることができます。
ペン先の字幅について
万年筆のペン先には、メーカーによって名称やラインナップが異なることもありますが、今回は、極細[EF](エクストラファイン)、細字[F](ファイン)、中細[MF](ミディアムファイン)、中字[M](ミディアム)、太字[B](ブロード)の5種類について、どんな特徴があり、どういった場面で使うことに向いているのかをご紹介していきます。
※今回は、セーラー万年筆の製品で比較しています。
極細[EF](エクストラファイン)
クリアな細い線を書くことができ、手帳などの小さいスペースへの書き込みに適しています。
細字[F](ファイン)
ノートや手紙に適していて、きめこまやかな文字を書きたい方におすすめの字幅です。
中細[MF](ミディアムファイン)
手紙や日記を書くのに適しています。細すぎる線では読みづらいと感じる方には、こちらの字幅がおすすめ。
中字[M](ミディアム)
ほどよい太さで、幅広いシーンでの活躍が期待できます。はじめての一本としておすすめの字幅。
もしカラーインクを使って色を楽しみたいと考えている場合にも、少し太めの線でインクの濃淡が出やすく、色を楽しむことができます。
太字[B](ブロード)
しっかり太めの線を書くことができ、サインをする時に向いている字幅です。
メッセージカードなどで、目立たせたい文字を書くときや、中字[M](ミディアム)と同様にカラーインクの色を楽しみたい場合にもおすすめです。
その他の字幅
極細、細字、中細、中字、太字の他にも、さまざまな特徴を持つペン先が存在します。
例えば、ミュージック[MS]という特徴的な名前のペン先。このペン先は本来は楽譜用で、横線は細く縦線は太く書くことができ、デザイン文字などにも適しているものです。
ほかにも、ペン先が上を向いているもの、下を向いているもの…言葉で聞いただけではパッと想像できないような形状のペン先もあり、そのすべてにメーカーこだわりのポイントが詰まっています。
同じ呼び名のペン先であっても、メーカーによって書き味も異なるのが、万年筆のペン先の奥深いところです。
おわりに
今回は、万年筆のペン先についてご紹介してきました。
それぞれのペン先がどんな特徴を持っているかを知っておくことは、万年筆選びの重要なポイントになります。
みなさんは、どんなシーンで万年筆を使うことを思い浮かべますか?
自分が万年筆を使っている姿を思い浮かべながら、ぜひ試し書きのできる店舗で万年筆を手に取ってみてください。イメージしていた通りのペン先がそのまま手になじむこともあれば、予想外のペン先と運命的な出会いをするかもしれません。
今回のような、インクや万年筆についての基本的な知識を扱った記事を『過去投稿まとめ with ink.おすすめのインク基礎知識投稿5選』でまとめていますので、こちらもぜひチェックしてみてください!