こんにちは、with ink.です。
前回の記事では、秋色のインクを使ってイラストレーターのこまちみゆたさんに描いていただいた秋の作品をご紹介しました。
今回は、描かれていたモチーフの中から、「芒」「秋桜(コスモス)」「金木犀」の3つの描き方について、細かくご紹介します。
目次
「芒(ススキ)」の描き方
1 :下塗り
ウォームグレーは全体の色をまとめる下支えとなります。今回は水で薄めた「ゆらめくインク 狐日和」で芒全体を薄めましたが、寒色でまとめたい時はここで青みのあるグレーを用いても◯。
2:重ね塗り
下塗りが乾いたら、「ゆらめくインク 狐日和」を葉や穂の目立たせたい部分にもう一段重ねます。折れ曲がった葉の裏と表、穂がぎゅっと重なった部分など、奥行きを出していきます。
3:ニュアンスカラー
薄めた「SHIKIORI ―四季織― 垂髪」を葉に、同じSHIKIORI ―四季織―シリーズの「金木犀」「奥山」を混色した金茶色を、薄めて穂に。ポイントは全体にべったり塗らないこと。葉の先端や折れ部分、穂の手前側に見せたい所などをほんのりと色づかせて。
4:仕上げ
最後に「ゆらめくインク 狐日和」を「hocoro 筆文字」につけ、ウォームグレーの線で走る葉脈、しっかりとした茎などに表情を加えていきます。今回は筆文字のペン先を使用しましたが、hocoroにはペン先種類が他にもあります。筆圧によって描きやすいペン先は大きく変わるので、お好みのものを見つけてみてください。
「秋桜(コスモス)」の描き方
1 :下塗り
水で薄めた「ゆらめくインク 狐日和」で秋桜全体を下塗り。このメイキングでは下塗りの色がそのまま花びらの地色になるので、この狐日和のように温かみのある色を使うと秋桜らしくなります。
2:重ね塗り
薄めた「SHIKIORI ―四季織― 垂髪」でまずは葉の全体を塗り、乾いたら、目立たせたい葉先などにさらに重ね塗りをします。インクは透明なので、薄い色でも重ねることで色に厚みがでます。
3:ニュアンスカラー
花びらの淡いピンク色の正体は、薄めた「SHIKIORI ―四季織― 奥山」。基本は薄塗りの地色を活かし、流れるように奥山ですじ部分を描きこみます。最後に真ん中に、薄めた「SHIKIORI ―四季織― 金木犀」で鮮やかな黄色を添えて。
4:仕上げ
仕上げに「ゆらめくインク 狐日和」を「hocoro 筆文字」につけ、葉先にシャープな表情をつけていきます。淡い色の花びらは全体にしっかりペンを入れてしまうと重い印象になるので、花の形がわかる程度に軽いタッチで入れるのがコツ。
「金木犀(キンモクセイ)」の描き方
1 :下塗り
水で薄めた「ゆらめくインク 狐日和」で金木犀全体を下塗り。たくさんの小さな花のかたまり部分は、ここではいったん大きなまとまりとして塗っておきます。
2:重ね塗り
薄めた「SHIKIORI ―四季織― 夜長」で葉全体を重ね塗り。花は「SHIKIORI ―四季織― 金木犀」に、ここでは隠し味としてほんのわずかに「SHIKIORI ―四季織― 奥山」を混色して赤みを足したものを、これも薄めて花全体に塗っています。
3:ニュアンスカラー
葉の手前に来ている部分に「SHIKIORI ―四季織― 夜長」「SHIKIORI ―四季織― 垂髪」を混色したもの、花の目立たせたいポイント部分に同じSHIKIORI ―四季織―シリーズの「金木犀」「奥山」を混色したものを②で塗った時より少し濃いめに溶いて大胆に入れていきます。奥行きを意識するのも忘れずに。
4:仕上げ
最後に「ゆらめくインク 狐日和」を「つけペン hocoro 筆文字」につけ、葉脈や小花の表情、枝などを上から描きこんでいきます。ポイントは「全体を描きこみすぎない」こと。物の輪郭線は手前だけにぴっと引くことで、そこにカメラのピントが合ったような効果が出ます。
季節のインクで感じる秋のおとずれ
インクは重ね塗りで濃くすることはできますが、いったん濃く描いてしまった色を明るく直すことが難しい画材です。
水で十分に薄めたつもりでも、いざ紙に塗ってみると思ったより濃い!となりがちなもの。本番用の紙に塗る前に、試し描き用の紙に塗って、濃さをチェックしてみましょう。
また、筆で塗った上からつけペンで線を描くときは、しっかりと乾かしてからがおすすめです。
ここでご紹介した描き方を参考に、ぜひ、秋のモチーフにチャレンジしてみてください。