SNSなどでインクにまつわる投稿を見ていると「シーンインク」や「シマーインク」といった言葉を目にすることがあります。
光沢感の出るものや、キラキラと光るものなど、インクの筆跡に現れる特徴によって、さまざまな名称が付けられているんです。
そこで今回は、シーンインク、シマーインク、その他の色が変わるインクについて紹介いたします!
「それぞれ一体どんなインクなのかわからない」「なんとなくは知っているけど詳しく知りたい!」という方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
シーン(Sheen)インクについて
書いた線の縁やインクが溜まったところに光が当たると、本来のインクの色とは違った金属のような光沢のある色が見える現象のことを「Sheen(シーン)」といい、この現象を見ることができるインクを「シーン(sheen)インク」といいます。
実際にシーンインクを使って書いた様子をお届けします!
今回使用するインクは『つけペン用ボトルインク Dipton Ripe fig』になります。
真上から見てみると、紫を含んだ深緑色に見えます。
角度をつけて見てみると、光が反射して光沢のあるエメラルドグリーン︎に!
角度によって見えてくる色が全然違いますよね!
1度で2度インクの色を楽しめますし、メタリックな色味も飽きずにながめてしまいます。
全てのインクでシーン現象が現れるわけではありません。
インクを買うときに「シーンインク」だと分かるように記載されているものもあるので、そういった種類のインクでぜひシーンを楽しんでください。
※筆記する紙によって光沢効果が見られない場合もありますので、そういった場合には、紙の種類を変えてみてください(今回使用している紙は、『ツバメ中性紙フールス』になります)。
また、光沢のある色が見える現象は「フラッシュ」と呼ばれることもあり、例を挙げると、青系のインクが金属のような光沢のある赤っぽい色に変化する「レッドフラッシュ」などがあります。
シマー(Shimmer)インクについて
続いては、シマーインクと呼ばれるものについてご紹介します。
「Shimmer(シマー)」には、チラチラ光る、揺らめき、きらめきという意味があります。
シマーインクとは、インクの中にラメが入っているもの(ラメ入りインク)のこと。
見る角度や光の当たり具合でラメの見え方が変わり、キラキラと輝いて見えるのでとても綺麗です。
実際にシマーインクを使って書いた様子をお届けします!
今回使用するインクは『つけペン用ボトルインク Dipton Ice dance』になります。
シマーインクを使用するときは、インク瓶の底にラメが沈澱しているので瓶を振ったり、マドラーなどでよく混ぜてからペンにインクをつけると、筆記線にラメがしっかり出てくれます。
真上から見ていると、少しラメが見えつつも、ベースの青が目立っている印象を受けます。
角度をつけて斜めから見てみると…
真上から見たときよりも、ラメのキラキラが強く感じられます!
キラキラの見え方を色々な角度で探っていくのも楽しい時間になります。
こちらもインクを買うときに、シマーインクやラメ入りインクなど表記があるので、ぜひ楽しんでみてください!
シーンとシマーどちらの性質も持つインク
実はシーンとシマーどちらの性質を持つインクもあります。
今回はそちらも実際に書いた様子をご紹介いたします!
使用するインクは『FERRIS WHEEL PRESS Sugar And Spite』。
ラメが入っているので、底に沈澱しているものをよく混ぜてからペンにインクをつけます。
真上から見ると、ベースの紫色が強く見えています。
斜めから見てみると、ラメのキラキラと光沢感の両方が感じられます!
このインクだけでシーンとシマー両方の現象を見ることができますし、とても鮮やかでかわいいベースの色も楽しめる、贅沢なインクですね。
そのほかの色の変化が楽しめるインク
最後に、これまで紹介してきた現象とはまた違った変化を楽しめるインクを紹介します。
シーンインクやシマーインクは、角度を変えて見ることで、その光沢やラメの美しさを感じることができました。ですが、それ以外の要因によって、ひとつのインクに様々な色を垣間見ることができるものがあります。
以前公開したインクブレンダー石丸さんへのインタビューでも「色の変化を楽しめるインク」についてお答えいただいています。
それでは、色々な変化を見せてくれるインクを使用した様子をお届けします!
乾くまでの間に色が変化するインク
まずは、時間によって色が変化するインクをご紹介。
使用したインクは『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 心隈(KOKOROGUMA)』です。
書き初めは瓶に入っている黒に近い濃い茶色が見えています。
乾くにつれてどんどん茶色が赤味を帯びるように変化していきます!
あっという間に煉瓦のような色へ変わっていきました。とても不思議ですが、どんな色に変わるのかワクワクしながら楽しむことができますね!
紙によって大きく色が変化するインク
続いては、書く紙によって大きく色が変わるという不思議なインクをご紹介。
今回使用するのは、『万年筆用ボトルインク インク工房 123』。
使う紙によって見える色が変わるとはどういうことなのか確かめるため、今回は4種類の紙を使用して見比べてみたいと思います。
それぞれの紙に、同じように筆記してみました!並べてみると、似た色が見られるものや、全く違った色が見られるものがあります。ひとつずつ確認していきましょう。
瓶に入っているもとの色(蓋の裏に付着している色)は青みのあるグレーのような、紫のようなインクなのですが、その色に1番近いのは『プロジェクトペーパー A5 5ミリ方眼』(写真左上)。けれども少し緑色も見えます。
『MDブロックメモ 無罫』(写真右下)も同様に緑色を感じます。色を塗った縁のところに注目すると、緑色が見えやすいですね。
『ツバメ中性紙フールス』(写真左下)は緑に加えて、うっすらピンク色を含んで見えます。
『バンクペーパー』(写真右上)にいたっては、他の紙で見られる紫色がほとんど見えず、緑色が基本で、うっすらとピンク色があります。
違う種類の紙に書いたことで、もとのインクはひとつでも、その中に青色、グレー、紫色、緑色、ピンク色と、たくさんの色が含まれている様子がわかりました。
紙によってインクの色の見え方が違って見えますので、「この紙はどんな色が出てくるんだろう」と想像しながら書くのも楽しみ方のひとつになります。
おわりに
今回は色が変化する万年筆インクの種類を紹介いたしました。
スタッフも、これだけ一度に変化するインクを試したのははじめてのことでしたので、その奥深さにあらためて見入ってしまいました。
インクが乾く間に色の変化が起こるので、それを眺めている時間も素敵なものになります。
気になった種類のインクがありましたら、皆さんもぜひ体感してみてください。