手書きで手紙を書くことが減ってきてしまっている昨今ですが、季節の移ろいやその風情にふれる手紙の挨拶は、美しい習慣のひとつ。
今回は、11月の手紙に使いやすい挨拶例文と、文章に添えるだけで紙面がはなやぐ季節の花「菊」の描き方を紹介していきます。
11月は秋の深まりとともに、年末に向けて人とのつながりを意識する季節。
日頃の感謝を伝えたり、久しぶりの近況報告をしたりと手紙を書くきっかけが増える時期でもあります。ぜひ参考にしてみてください。
目次
11月《霜月(しもつき)》
11月は秋が深まり、冬の気配が少しずつ感じられる季節。
朝晩の冷え込みが増し、木々の葉が赤や黄色に色づき、落ち葉が風に舞う光景が街を彩ります。
今回は、晩秋ならではの情景を取り入れた11月のお手紙にぴったりな挨拶文と、秋の終わりを彩る「菊」の描き方をご紹介します。
11月上旬〜中旬の挨拶文
まずは、11月上旬〜中旬のお手紙に使いやすい、挨拶文の例とインクの組み合わせです。
11月上旬〜中旬の挨拶文の例①
菊の花香る季節となりました。

晩秋を象徴する花として親しまれる菊の香りにふれることで、季節の深まりを感じさせます。

晩秋の澄んだ空気と朝晩の冷え込みを感じさせる凛とした雰囲気を表現するために、『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml 寒暁』を使用しました。
11月上旬〜中旬の挨拶文の例②
朝夕の寒気が身に染みる時節となりました。

晩秋から初冬へと移りゆく季節の変化を肌で感じさせる挨拶文です。

この挨拶文には、落ち葉がしっとりと濡れる晩秋の静けさを思わせる情景を込めて、『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク はらはら』を使用しました。
11月中旬〜下旬の挨拶文
続いては、11月中旬〜下旬に使いやすい挨拶文とインクの組み合わせです。
11月中旬〜下旬の挨拶文の例①
ひだまりの恋しい季節になりました。

日差しの温もりが一層ありがたく感じられる晩秋から初冬にかけての季節感を表現した挨拶文。

日差しの温もりが恋しくなるほどに冷え込む季節の空気感を表現するため、『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml 凍空』を使用しました。澄み渡る空の静けさと肌に触れる冷気を思わせる色合いが、季節の寂寥感と温もりへの憧れを繊細に引き立ててくれます。
11月中旬〜下旬の挨拶文の例②
舞い散る枯れ葉に冬の息吹を感じる頃となりました。

秋の終わりを告げるように舞う枯れ葉の情景を通して、冬の訪れを予感させるお手紙に。

この挨拶文には、枯れ葉が舞う晩秋の風景に冬の気配が静かに忍び寄る情景を重ねて、『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 霜夜』を使用しました。
季節の花 『菊』の描き方
落ち着いた香りと多彩な色合いが魅力の菊。
幾重にも重なる花びらがふんわりと広がる様子を意識しながら、立体感を出して描いていく描き方をご紹介します。
使用するインク:
■『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 770』
■『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 常盤松』
1.花びらを描く

まずは『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 770』で上に向かって短い線で数本花びらを描いていきます。
花の中心の位置を決めてから描くのがポイントです。

次に左右に1本ずつ長めの花びらを描いて、横幅を整えます。

それぞれの花びらの間に細かい花びらを描き足していき、花のボリュームを調整していきます。
2.茎を描く

『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 常盤松』を使って、茎の線を引きます。
3.葉っぱを描く

最後に葉っぱを描きます。
少し輪郭が波打つようなイメージで形をとると、菊の葉っぱらしい印象を出すことができます。

おわりに
木々の葉が色づき、落ち葉が風に舞うこの時期には、景色の移ろいだけでなく、空気の冷たさや夕暮れの早さなど、季節の深まりを感じる瞬間が増えていきます。
そんな晩秋ならではの静かな風景や、心に浮かぶ思いを手紙に綴ってみてはいかがでしょうか。
相手を思いながら文章を書いたり、季節の花を描くことは、私たちが過ごしている日々の中の、見落としてしまいそうになる物事や景色に改めて意識を向けさせてくれます。
丁寧に時間をかけて、ゆっくりと書いていく手書きの手紙ならではの魅力です。
そんな、心が温まる手書きによる交流を、ぜひ皆さんも楽しんでみてくださいね。