手書きで手紙を書くことが減ってきてしまっている昨今ですが、季節の移ろいやその風情にふれる手紙の挨拶は、美しい伝統のひとつ。
今回は、残暑見舞いに使いやすい挨拶例文と、文章に添えるだけで紙面がはなやぐ季節の花「向日葵(ひまわり)」の描き方を紹介していきます。
なかなか終わらない暑さの中、送る相手の健康や近況を気づかう残暑見舞い。暑さのピークを迎える時期から、秋のはじまりを感じる時期まで、残暑見舞いを送るタイミングに合わせていろいろな言葉を選ぶことができますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
8月《葉月(はづき)》
8月7日ころの立秋を過ぎると、暦の上では秋となりますが、実際には暑さがピークを迎える時期になります。
この立秋を過ぎてから、8月末までに送る挨拶状として「残暑見舞い」があります。
今回は、残暑見舞いの構成に加えて、8月の挨拶文と向日葵(ひまわり)の描き方を、ご紹介します。
残暑見舞いの構成
残暑見舞いは、暑中見舞いと同様に「お見舞いの挨拶」「時候の挨拶からはじまる主文」「結びの挨拶」「日付」の4つの要素でできています。
お見舞いの挨拶
「残暑お見舞い申し上げます」の後には「。」をつける必要はありません。
本文よりも少し大きく書くと、メリハリがつきます。
時候の挨拶と主文
季節が感じられる一文のあとに、相手の健康を気遣う言葉や自分の近況報告を書いていきます。
結びの挨拶
相手の健康を気遣った思いやりある言葉や、感謝の言葉で最後を締めくくります。
日付
詳細な日付は入れず、年数の下に、残暑見舞いの場合は「立秋」や「葉月」、「晩夏」と書きます。
8月上旬〜中旬の挨拶文
まずは、8月上旬〜中旬のお手紙に使いやすい、挨拶文の例とインクの組み合わせです。
8月上旬〜中旬の挨拶文の例①
まずは、8月上旬〜中旬のお手紙に使いやすい、挨拶文の例とインクの組み合わせです。
ひときわ厳しい日差しの中、空を仰ぐ向日葵が満開となりました。
向日葵の花が満開となり、まさに夏真っ盛りな情景を想像させる一文。
華やかさや派手さを好む心を意味する「伊達心」。その言葉を、太陽に向かって咲く向日葵に当てはめて、この挨拶文には『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml 伊達心』を使用しました。
8月上旬〜中旬の挨拶文の例②
湧きあがる入道雲が、青空に映えております。
夏の空にそびえ立つ入道雲を取り上げ、その鮮やかな景色から感じる季節感を共有できるお手紙に。
この挨拶文には、夏の空の天頂の青や、まぶしさを含んだ澄んだ青を思わせる『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 740』を使用しました。
8月中旬〜下旬の挨拶文
続いては、8月中旬〜下旬に使いやすい挨拶文とインクの組み合わせです。
8月中旬〜下旬の挨拶文の例①
連日の猛暑に秋風が待たれるこの頃、
8月も中盤を過ぎ、そろそろ秋の気配を感じたくなる時期。「秋」という漢字を含んだ言葉を入れて少しでも涼しさを感じられる一文に。
この挨拶文には、ほのかに秋を感じさせる茶色として、『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 利休茶』を使用しました。
8月中旬〜下旬の挨拶文の例②
八月も残りわずかとなり、朝夕は幾分過ごしやすくなりましたね。
ようやく朝夕の気温が落ち着き、過ごしやすさを感じつつ、季節の流れを感じられる挨拶文にしてみました。
この挨拶文には、いよいよ秋へと移り変わり、長くなっていく夜を連想させる濃い青色をした『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 夜長』を使用しました。
季節の花 『向日葵(ひまわり)』の描き方
存在感のある大きな花と、黄色と茶色のコントラストが魅力的な向日葵。
今回は、夏の日差しに向かって咲く向日葵(ひまわり)の描き方をご紹介します。
使用するインク:
■『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 若鶯』
■『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 770』
■『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml 狐日和』
■『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml 心隈』
1.花びらを描く
まずは、右上を向く向日葵をイメージして、種ができる部分の楕円を描きます。
黄色のインクは鉛筆の線が残りやすいので、形をとった後に、消しゴムで鉛筆の線を薄めておくのがおすすめ。
次に、楕円に沿って『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 770』で花びらを描いていきます。
色が濃くなり過ぎないようにするため、色を塗った後に、乾く前のインクをすぐにティッシュで拭き取ります。
上からティッシュで押さえ、インクを吸い取るようなイメージです。
楕円に沿って一周花びらを描き終わったら、一度インクが乾くのを待ちます。
手前側の花びらは短め、奥側の花びらは長めに描くのがポイントです。
続いて、もう一度楕円に沿って『万年筆用ボトルインク インク工房 染料 20ml 770』で花びらを重ね描きしていきます。
先ほど描いた花びらと花びらの隙間を埋めるように描いていくと、密集した花びらの重なりを表現できます。
※このときには、インクをティッシュで拭き取る必要はありません。
2.中心部を塗る
種ができる部分を、『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml 狐日和』で塗ります。
筆を使ってインク溜まりを出してあげると、色の濃淡で複雑な表情に。
さらに、『万年筆用ボトルインク ゆらめくインク 染料 20ml 心隈』を使って点を入れていくことで、細かいテクスチャを表現していきます。
3.茎と葉を描く
鉛筆で茎と葉の形をとっていきます。
向日葵の茎は、どっしりと太めに描き、葉は縁を少しギザギザさせることで、向日葵らしさを出すことができます。
最後に、『SHIKIORI ―四季織― 万年筆用ボトルインク 若鶯』で茎と葉を塗れば完成です!
おわりに
暑さが長引く中送る「残暑見舞い」。
厳しい残暑が続くこの時期に、自分の近況報告とともに相手への日頃の感謝や、無事を祈る気持ちをしたためてみてはいかがでしょうか。
相手を思いながら文章を書いたり、季節の花を描くことは、私たちが過ごしている日々の中の、見落としてしまいそうになる物事や景色に改めて意識を向けさせてくれます。
丁寧に時間をかけて、ゆっくりと書いていく手書きの手紙ならではの魅力です。
そんな、心が温まる手書きによる交流を、ぜひ皆さんも楽しんでみてくださいね。